第13回 〜 いざ空港へ 〜


 めでたくすべてのファイルが完成し、いよいよテストフライトとなるわけですが、その前にリストファイルへの登録を済ませなければなりません。



 YSFlight の本体プログラムと同じ場所に、「aircraft」というフォルダがあります。その中に「aircraft.lst」というファイルがありますから、 これをメモ帳で開いてみましょう。

 
 これが「.lst ファイル」(リストファイル)の中身です。簡単にいうと、どのデータがどこにあるかを書いたファイルです。

 具体的には、YSFlight の本体プログラムを基準とした相対パスで各ファイルを指定しています。このリストファイルはデフォルト機が登録されているのですが、 デフォルト機のデータはすべて「aircraft」フォルダに入っていますから、パスも「aircraft」から始まっています。


 では minagi をここへ登録してみましょう。


 もうお気づきかもしれませんが、それぞれのファイルを書く順番が決まっているということに注意しなければなりません。
 .dat ファイル .dnm ファイル coll.srf ファイル cockpit.srf ファイル coarse.dnm ファイル


  という順番になっています。それぞれの間には半角スペースを1つずつ入力していきます。よって、minagi を登録する場合は、
 aircraft/minagi.dat aircraft/minagi.dnm aircraft/minagicoll.srf aircraft/minagicock.srf aircraft/minagicoarse.dnm
となります。途中に余計な空白や改行を入れないようにしましょう。場所はとりあえず最後にしておきましょうか。


 あとは、「aircraft」フォルダに 「minagi」を構成するファイルをコピーして準備完了です。


 ちなみに、リストファイル自体を新しく作ることもできます。名前の最初が「air」で拡張子が.lstなら、それはリストファイルだというふうに プログラムが判断し、読み込んでくれます。気になった方は、ダウンロードした機体パックの .lst をのぞいてみましょう。


 また、リストの順番がそのまま機体選択での順番になります。


 YSFlight を起動して、機体を選びます。「aircraft.lst」の最後に登録しましたから、 おそらくデフォルトの YS-11 の次にあるはずです。フィールドを選択して「Fly」!!

 滑走路に出たら、まずは外部視点の状態でスティックを動かして、舵の動きをチェックします。

 それが済んだらいよいよ離陸です。スロットルを全開まで上げて、70[kt]になったらスティックを引いて離陸、10°くらいの 角度を保って上昇します。ある程度高度が上がったらギアを上げて、さらに上昇します。

 十分に高度をとったら、あとは自由にフライトしてもらってかまいません。やや出力が小さいですが、軽いアクロバット飛行は きちんとこなせるようにセッティングしてあります。また全体的に安定性を高くしてあります。
 
 着陸ですが、minagi にはスポイラーがないので、あらかじめ十分に速度を落としておく必要があります。ギアを下げて降下し、 滑走路端を越えるあたりで75[kt]くらいならちょうどいいでしょう。フレアをかけて着陸します。



 今回はこれで完成というわけですが、実機同様、この後に何回ものテストや修正が必要になってくる場合がほとんどです。 まず考えられるのは .dnm 関連のミスです。

・パーツの動きがおかしい。もしくは表示されない。
・モデルの表面が黒く汚れている(影がある)。
・別の操作でパーツが動いてしまう。

 などが考えられます。本来であればビューアなどを使って製作段階で直しておくべきですが、最終段階で発見されることもよくあります。 これについては、.dnm ファイルを構成している PCK ノード(形状データ)や SRF ノードに修正を加えることで解決できます。

 また、.dnm が正しく書かれているかをチェックするスクリプトもありますので、試してみましょう。




 続いて.dat 関連のミスが考えられます。これについては機体選択やフライト前にメッセージが表示されることがあります。 「巡航速度が最大速度を上回っている」といった矛盾や、算出された値に問題があるといった内容ですので、きちんと見ておきましょう。

 ほか、メッセージのでないミスとしては、「武装の表示位置が違う」などの座標の設定ミスが考えられます。特に左右ギアの座標が 同じだった場合、ひっくり返ったり突如爆発したりしますので、気をつけましょう。




 そして、これはミスではありませんが、「意図した性能になっていない」というものがあります。実はこれをなんとかするのがもっとも時間のかかる 作業なのです。「調和のとれた性能に仕上げる」ということで、私は個人的にこの作業を「チューニング」と呼んでいます。いかにその機体らしく 飛べる .dat にしていくか…フライトと修正を繰り返して仕上げていきます。

 それぞれの項目を変更することによる効果は、先ほどの.dat 専用ページに書いておきました。 参考になるかどうかはわかりませんが、少しでもチューニングのお手伝いができればうれしいです。また、minagi はそもそも架空機ですので、性能もみなさんの 想像におまかせです。というわけで、チューニングの練習にぜひお使い下さい。


 いずれの修正でも、結果を確認するには YSFlight の再起動が必要です。このため、テスト用にアドオンの少ない ysmain(o).exe を用意しておくと、起動が 早くなるので便利です。



 修正が終わったら、あとはじっくりとフライトを楽しみましょう。飛び慣れたマップでも、自分の作った機体でフライトするのはやはり楽しいものです。 墜落しても実害がないのがシミュレーションですが、それでもなんとなく機体を大事にしたくなるかも…?
 

 さて、これにて、SACreS はひとまず終了です。今度はみなさんが各自で工夫して、楽しい機体を作っていって下さい。 ここまでの解説は StarGear 管理人 Takaty- でお送りしました。それではまた、お会いしましょう。








前へ   最初へ


inserted by FC2 system