第9回 〜 機体を組み立てる その3 〜


 今回はまず、ぶら下げ(パーツ同士の連結)について説明したいと思いますので、エレベータ(昇降舵)の SRF ノードを、最後の END の前に作って下さい。 エレベータ なので CLA は 6 、NST は 3 、STA は3行となりますが、角度はまだ入力しなくていいです。


SRF "0006"
FIL elevator.srf
CLA 6
NST 3
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
POS 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
CNT 0.00 0.00 0.00
REL DEP
NCH 0
END



 では、SurfView で見てみましょう。こんな感じになっていますか?

 それでは、試しにテイルブーム(後部胴体)を短くしてみたいと思います。短くするといっても別に形状に 手を加えるわけではなく、ただ前方に移動させて短くなったように見せるだけです。

 SRF "0001" の SRF ノードがテイルブームですね。この POS 行をこのようにしてみます。
POS 0.00 0.00 1.00 0 0 0 1


 再度保存してまた見てみます。

 こんなふうになったかと思います。テイルブームだけが前方に 1.00m 移動したせいで エレベータが取り残されて離れてしまいましたね。

 では、テイルブームの SRF ノードにさらに変更を加えて、次のようにしてください。

SRF "0001"
FIL tailboom.srf
CLA 0
NST 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
POS 0.00 0.00 1.00 0 0 0 1
CNT 0.00 0.00 0.00
REL DEP
NCH 1
CLD "0006"
END

 変わったのは、NCH の値が 1 になり、その下に CLD という行ができているということです。

 この CLD という行がパーツ同士の連結、すなわちぶら下げを指定する行なのです。後ろの "0006" はエレベータの SRF セクションの ID ですね。 つまりこれは、「テイルブームにエレベータをぶら下げる」ということを意味しているというわけです。

 この、CLD を設定した方のノードを親ノードと呼びます。今はテイルブームがこれにあたります。 そして、CLD に書かれ、ぶら下がっている方のノードを子ノードと呼びます。こちらはエレベータですね。

 この結果からもわかるとおり、親ノードが動くと、子ノードはそれについていきます。 STA 行の設定によって親ノードが移動したり回転したり すれば、当然子ノードも一緒になって移動や回転を行うというわけです。

 テイルブームの POS をふたたび変更して、短くしたテイルブームをもとにもどしましょう。ちょうど、最初と同じ状態になります。




 さて、せっかくエレベータをつけたのですから、ついでに動くようにしちゃいましょう。例の表を見ると、エレベータの STA は上から順番に、 ニュートラル・アップ・ダウンの状態を指定するようになっています。また、舵角は 15°です。よって、3行ある STA はそれぞれ、

STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 -2731 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 2731 0 1

 となります。さぁ、保存して SurfView で…って、あれ? なんかおかしいですよ…


 …ごめんなさい。実はこうなるってわかってました。


 右の画像を見れば、その理由はもうおわかりですよね? そうです。そもそも 回転軸のある位置が間違っているせいで、こんな動きをしてしまったんですね。

 もっとも、SurfView は読み込んだ.dnm どおりに表示したわけですからある意味では 問題ないともいえますけどね。
 
 でもやっぱりこれではまずいわけで、どうにかしないといけませんね。さて、どうしましょうか。


 先ほどの画像の右側は、Gepolyx の画面です。これを見て、「回転軸を移動しちゃえばいいんじゃない?」と思いませんか? そう、それです。 間違った位置にあるのなら正しい位置にもっていけばいいだけですよね?

 ですが、残念ながら Gepolyx には基準となる点や軸を動かす機能はありません。だったら逆にエレベータを軸のところまでもってくれば いいんです。これならできます。実はこれが「軸あわせ」というテクニックの基礎なのです。


 「MultiVertices」メニューの「Select」でエレベータ全体を選択します。すべての頂点が赤から黒に変わります。

 そのまま同じく「MultiVertices」メニューの「Move Vertices」を選択します。カーソルが部品の重心にひとつ表示されましたね?

 「View」メニューの「Right View」で真横からの視点にしたら、 カーソルを移動して、まずはおおざっぱに軸の近くまでもってきます。

 そのままいっぱいまで拡大して、左図のようにぴったりあわせましょう。

 できたら「MultiVertices」メニューの「Unselect」「Edit」メニューの「Clear Interface Object」を 使って選択と表示を消して、保存します。


 ついでに Unshadow のスクリプトも使ってきれいにしてから、SurfView でチェックしてみましょう。
回転軸が正しい位置にありますね。これなら大丈夫そうです。

 では、このパーツを.dnm に組み込みますが、その前にまず、今ついているエレベータのデータを消さなくてはなりませんね。 PCK elevator.srf の次の「Surf」から、 PCK rudder.srf の手前にある「E」までを消します。そしてそこに、今作った 新しいエレベータを組み込みます。おそらく行数は同じはずですが、一応きちんと確認しましょう。

 えっ? どうだったっけ、ですって…? 第7回を読み返してみてください。

 

 さて、これで大丈夫…と思ったら、またなんかおかしいですよ…? なに? いちいちやらなくていい? それはまたどうも失礼しました。

 先ほどエレベータを移動させたにもかかわらず、それを挿入する場所、すなわちエレベータの POS 行がそのままなのでこうなってしまったわけです。 POS を使って、正しい位置にもどす必要があるということですね。

 でももう動かしちゃったし、どこにもどせばいいのやら…そんな心配はいりません。前半を思い出してください。

 エレベータの親はどのパーツでしたっけ?


 というわけでテイルブームを Gepolyx で読み込んで座標をとってみましょう。

 「Special」メニューの「Vtx On Edge」で左右の境目となる辺を選ぶとちょうどその中点が 示されますから、そのまま頂点を打ち込んだあと、その頂点を右クリック「Primitive」メニューの「Insert Vertex」を使って頂点の位置を調べます。

 ここまで間違いなく作ってあれば、おそらく
 0.00 1.65 -7.15
だと思います。
 

 よって、最終的にエレベータの SRF ノードは以下のようになります。
SRF "0006"
FIL elevator.srf
CLA 6
NST 3
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 -2731 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 2731 0 1
POS 0.00 1.65 -7.15 0 0 0 1
CNT 0.00 0.00 0.00
REL DEP
NCH 0
END

 さぁ、動作をチェックしてみましょう。1キーでニュートラル、2でアップ、3でダウンとなっていればばっちりです!


 ところで、今回やった軸合わせの方法ですが、実際にこのような手順を踏むことはほとんどないです。ただ、軸合わせの考え方について知ってもらいたかったので、 あえてこのような手のかかる方法を紹介させていただいた次第です。

 というわけで次回はもう少し実用的な軸合わせを試しながら、機体を完成させたいと思います。それでは。




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