第10回 〜 機体を組み立てる その4 〜


 さて、そろそろこのへんで主翼を取り付けましょうか。例によって、最後の「END」の前に次の SRF ノードを追加します。

SRF "0007"
FIL mainwing.srf
CLA 0
NST 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
POS 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
CNT 0.00 0.00 0.00
REL DEP
NCH 0
END

 次はエルロンを取り付けたいところですが、Gepolyx でエルロンの.srf を見てもらえれば分かるとおり、やはり軸が正しい場所に ありません。また形状を移動させたくなりますが、実はそれよりももっと楽な方法があるのです。

 前回、「基準となる点や軸を動かすことはできない」といいましたが、それはあくまで Gepolyx でのお話。SRF セクションのとある行を使うと、 形状に手を加えることなく、基準となる点や軸だけを動かすことができるのです。


 それが、CNTで始まる一行です。


 今までの SRF ノードを見てみてください。CNT はみんな「0.00 0.00 0.00」ですよね? ですから形状を作っている時に Gepolyx で表示されていた 軸の位置がそのまま回転に使われていたというわけです。


 さぁ、一気に左右のエルロンを取り付けてしまいましょう。ID、読み出す.srf、CLA をまず確認します。表はこちら
 回転角は 20°です。が、エルロンは同じ操作でも、左右でそれぞれ異なる動きをする装置です。回転方向に注意しましょう。(あとでチェックします)

SRF "0008"
FIL aileron_l.srf
CLA 7
NST 3
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 -3641 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 3641 0 1
POS -3.30 0.00 -1.00 0 0 0 1
CNT -3.30 0.00 -1.00
REL DEP
NCH 0
END

SRF "0009"
FIL aileron_r.srf
CLA 7
NST 3
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 3641 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 0 -3641 0 1
POS 3.30 0.00 -1.00 0 0 0 1
CNT 3.30 0.00 -1.00
REL DEP
NCH 0
END

 Gepolyx を使ったか、CNT を使ったかの違いはありますが、POS を使ってもとの場所にもどすという手順も前回といっしょですね。そしてよく見ると、 POS と CNT の座標は同じであることに気づくと思います。これなら、やり方を覚えるのもとっても楽ですね。

 さて、どうなったか SurfView でチェックしてみましょう。

 このようになればOKです。エルロンが下がれば主翼が持ち上がり、上がれば主翼は沈みます。これで機体が傾くというわけなんですね。


 ちなみに、 YSFlight でのこれらの動きはあくまで見かけだけなので、もし操縦翼面が逆に動いたとしても、操縦桿の 操作どおりに機体は運動します。


 さぁ、完成まであと一息です。ラダーを取り付けましょう。とはいっても、まずは軸あわせなんですけどね。

 ・・・・・・・・・。

 さて、どうやって合わせましょうかね?

 Gepolyx には選択して回転を行うコマンドはありません。また、CNT には角度がないので 基準となる軸を傾けることは残念ながらできません。

 ならば三角関数を使って頂点の位置を計算して、軸のそろったラダーを作り直しますか…?

 面倒ですねぇ。というわけで楽させていただきましょう。

 「朝飯中隊駐機場」にて公開されているスクリプトに、 「SurfAlign」というものがあります。これひとつで、どんな軸合わせでもぱぱっとできます。スクリプトのコーナーに、「SurfAlign - SRFを座標軸に合わせる」というのがありますので、 ダウンロードしましょう。




 では、早速やってみますが、座標をとる必要がありますので、Gepolyx でラダーのパーツを読み込んでおいて下さい。

 このスクリプトは、Base と Edge という指定した2点を通る直線を回転軸にするというしくみになっています。 左の画像を見ればイメージがつかめるかと思います。
 
 なお、Target ですが、これは Base の移動を指定する部分です。今はすべて 0.00 で大丈夫です。

 座標を入力して、直線をひとつ決めたら、次は Axis でその直線をどの軸にあわせるかを指定しないといけません。 ラダーは左右に動きますから、「Yaw(Y)」を選びます。

「Max Accurate」はそのままでいいです。「Add Pos to SRF」のチェックはとりあえず外しておいてください。

 
 ここまでできたら、あとは前に作ったラダーの .srf ファイルを、この「SurfAlign」のウィンドウにドラッグ and ドロップします。すると今まで空だった 「POS Line」の欄に、POS から始まる1行が表示されたとともに、先頭に_AlY_とついた .srf ファイルが作られます。

 では、この_AlY_で始まる.srf ファイルを試しに Gepolyx で開いてみましょう。ぴったりY軸にあわせられていますね。まさに完璧第9回のように手動でやった時と比べると、精度も向上し、より美しく仕上がります。


さて、 PCK rudder.srf をこれととりかえましょう。前回でエレベータをとりかえるのをやりましたから、すぐできると思います。 頂点や面の数は変化していませんから、行数もおそらく同じはずです。

 ちなみに今回はラダーのみでしたが、これは軸あわせを理解しやすいようにと、「minagi」をあえてそのように設計したためです。多くの機体では操縦翼面が軸に沿っていることはむしろ少ないので、 ほとんどの軸あわせでこの「SurfAlign」を使うことになるかと思います。

 
 あとはラダーの SRF ノードを作らなくてはなりませんね。POS 行には Surfalign が計算してくれた数値をコピーしておけばばっちりです。
SRF "0010"
FIL rudder.srf
CLA 8
NST 3
STA 0.00 0.00 0.00 0 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 -2731 0 0 1
STA 0.00 0.00 0.00 2731 0 0 1
POS 0.000000 0.000000 -6.150000 0 4028 0 1
CNT 0.00 0.00 0.00
REL DEP
NCH 0
END

 さぁ、チェックしてみましょう。



ぱんぱかぱ〜ん♪


 ついに完成しましたね。こんなシンプルな機体でも、作るのには意外と時間がかかるんだなぁと思った方もいるのではないかと思います。実を申しますと、現在では今までで紹介した ものの他にも、もっと多くのツールやスクリプトがあり、それらを使うことで、よりきれいな機体をもっともっと効率的に製作することができます。

 ですから、ここまでの方法はやや古い、非効率的な方法であるともいえます。

 しかしながら、私は機体データそのものを理解するためには、あえてこのように手間をかけることも必要であるという考えから、このような手順をみなさんにお伝えした次第です。 今後は便利なツールやスクリプトを使うことが多くなるかと思いますが、その時に、「そのツールやスクリプトは何をやってくれているのか」ということを踏まえたうえでそれらを 使うことは、とても大切なことなのではないかと思います。



 …なにやらエンディングっぽい文章になってしまいましたが、これを YSFlight で使えるひとつの機体にするには、まだやらなくてはならないことがいっぱいあります。 だってほら、第1回で紹介したファイルがまだ全部出来上がっていないではないですか…。

 というわけで次回はそれらのファイルを作ります。それでは。




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